こんにちは!元古着屋店員&バイヤーのゴンザレスです!
今回は古着の素材について深掘りしてお話ししていこうと思います。
「現代の服より古着の方が素材のクオリティが高いってほんと?」や「なんで数十年前の服の素材の方が品質が高いの?」という疑問にお答えいたします。
小難しい話も出てきますができるだけわかりやすく解説いたしますのでぜひ最後までご覧ください!
古着の方が品質が高いってホント?
結論から言います。
本当です。
「それって古着を売りたい側のセールストークなんじゃないの?」
と思いますよね。
わかります、その気持ち。しかし、過去に古着屋店員として働いていた自分からするとその差は触っただけで歴然なのです。
またその差はお客様にも着用していただければ納得の差が感じられると確信しております。
ただ、その差はいったいなんなのか。どうして今の素材と昔の素材でこうも違いがあるのか。
それは大きく分類して二つの観点から考えられます。
大きな差は生地の違い?
【経済的観点と需要】
第一に経済的な観点と需要という部分が挙げられます。
90年代に入ってファッション界を大きく変えたものそれはユニクロなどのファストファッションの台頭でした。
それまで服は1着が今よりも高く、ワークウェアやタウンユースな服であっても高価な物を買い、それを丁寧にリペア(修繕)したりして着用していました。
ヴィンテージの服にボロボロなジャケット、フェード(退色)したスウェット、リペアだらけで履き潰されたデニムがあるのはそういう背景からなのです。
それがかつての服の在り方だったのです。
90年代にファストファッションの登場により服がどんどん安くなっていきます。
服が安くなるということは、そこにかけられていた原価も下がり、人件費もより安く大量に生産できる中国やバングラデシュ等のアジア諸国に移っていきます。
つまり、素材に関して、良質な素材より多少質は劣っていても大量生産できて安く作れるものが優先されるということを意味しているのです。
また元々アメリカや日本、フランスやイタリアなどで盛んに作られていた衣服がアジア諸国に移ることで待ち受けているのは良質な原料の低下だけではありませんでした。
技術面です。
その国々で培われた技術や文化が他の国に生産拠点を移すことで失われていってしまったのです。
そして需要の面でも同じようなことが言えます。多少質が劣ろうとも安く買えるのであれば安いほうがという購買者心理が働き、
良質な衣服の需要は下がり、安価な服の需要はどんどんと高まっていきました。
また近年、ECサイトでの衣料販売が主流になりつつあり良質な物を販売することより
いかに消費者の購買意欲をあげ、どう販売するか、どう魅せるかというマーケティングの部分が重要視されるようになっていきました。
これが経済面と需要の側面からみた衣料品の質の低下と言えます。
【原材料の質の低下】
次に原材料の質の低下があげられます。
これも需要の話と似通った部分があります。
これは天然素材に関してです。
天然素材の原料は農業です。ウールやカシミア、シルクなどの動物性繊維にしても、コットンやリネンなどの植物性繊維にしてもいずれも農業です。
この農業というのは国や自治体からの支援が重要になってきます。
しかし天然繊維の世界的な需要というのは年々低くなっていきました。これは化学繊維の発達やそもそも衣料品の供給過多、生産過多が原因です。
そうなってくると政府や自治体は利益になりにくい繊維産業から利益になる他の業種への支援や投資へシフトします。
こうして支援を受けられなくなった農業、繊維業はだんだんと力を失っていき技術や質が失われていくのでした。
さらに深掘った話をしてみましょう。
具体例をあげるとすればアイリッシュリネンなどがわかりやすいかと思います。
かつてリネンの王様、リネンの最高峰と呼ばれたアイリッシュリネンというリネンがありました。
名前の通りアイルランドで紡績、生産されてきました。
しかし現在は違います。
アイルランドにはもう紡績工場もフラックス工場も残っていません。
かつて原材料や糸の段階からアイルランドで生産されていたアイリッシュリネンは現在、アイルランドで織られた生地をそう呼ぶように変わってしまったのです。
小さな差に見えますが、糸や原材料の品質が変わるということは結果的に衣服になった時に大きな違いを産みます。
このような経緯から、原材料面においても衣料品の質は下がってしまったと言わざるを得ないでしょう。
日々進化し続ける衣服
ここまでの記事を読んで衣料の質、アパレル業界は常に退化しているのかと思われた方もいるかもしれません。
また、「近年、品質が良くなっているジャンルのファッションもあるはずだ」といった意見もあるでしょう
そうなんです。前の章で書かせていただいたのは、ファッションの中でも一部のお話なのです。
つまり、それとは真逆に日々進化し続けているジャンルもあります。
次にそんなファッションのお話しをしていきます。
【アウトドアブランドとファブリック】
近年成長著しいファッションジャンルがアウトドアブランドでしょう。
有名どころでいえば
ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)、モンベル(mont-bell)、マムート(MAMMUT)
などが挙げられます。
アウトドアファッションの特徴としては、伸縮性が高く、自由な動きが可能なデザインが多く、アクティブな動きにも対応できることが挙げられます。
また、水や湿気をブロックする防水性や撥水性、温度をキープする保温性、多少の火や熱ではダメージを受けない難燃性、汗をかいてもベタつきを抑える吸汗速乾性などの機能性も備えていたりします。
これらの機能面で優れたアウトドアブランドたちが近年デザイン性を重視したタウンユース向けの服を多く展開しています。
高機能なアイテムを高いファッション性で着用できるということで街中でアウトドアブランドの服を見る機会も増えてきました。
そして素材開発にかなりの力を入れており、例えばグラフェンという炭素由来の素材で、鉄の200倍の強度や高い熱伝導性、抗菌性など多くの機能を有しているファブリックを用いて頑丈な破れにくい服なども出てきているのです。
また2024年現在ではファッショントレンドに【ゴープコア(アウトドア要素を取り入れたシティスタイルのこと)】や【クワイエット・アウトドア(ゴープコアより控えめなロゴや落ち着いた色のアイテムをミックスしたスタイル)】が入ってきておりその人気は衰えを知りません。
このようにアウトドアブランドは日々進化しているのです。
【ワークウェアブランドとファブリック】
次にワークウェアが挙げられるでしょう
ワークウェアの魅力は元々、実用性と快適性を兼ね備えた点にあります。
耐久性や機能性に優れた素材を使用し、過酷な作業環境でも長時間の使用に耐えることができるため、安全性や効率性を考えられた設計をしています。
また、反射材や防火・防刃加工が施されることで、作業中の事故を防ぎ、快適性を損なうことなく動きやすさも確保されているため、作業のストレスを低下させます。
さらに、多機能ポケットや収納スペースなど、道具を効率的に持ち運べる設計が施されており、作業効率が向上します。
しかし近年のワークウェアブランドはここにデザイン性の要素も追加してきているのです。作業効率を計算し尽くされた設計とタウンユースできるおしゃれなデザインから人気を博しておりそういった経緯からワークウェアも日々進化していると言えるのです。
おわりに
今人気の古着!今回この記事でその魅力が伝わったでしょうか?
古着の方がクオリティが高いというのは事実ですがその反対に時代の経過により進歩し続けている業界や技術があるのもまた確かなのです!
今回はこの記事を読んでいただきありがとうございました!
また古着にまつわる記事もどんどん更新していきますのでブログのチェックどうぞよろしくお願いいたします!
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